発熱外来には多くの患者が訪れ、その中から重症患者を見つけ出すのは非常に難しいことです。私は幸運にも急性喉頭蓋炎と扁桃周囲膿瘍のケースを発見できたことがあるのですが、これは「のどが痛くてつばを飲み込めない」という情報を聴取できたからです。ただの咽頭痛だと飲み込めないという訴えはあまり多くありません。また、これらの病気は太った糖尿病の男性に多い印象があり、当患者がそういう人だったため、追加の検査に進むことができました。急性喉頭蓋炎が疑われる場合は経鼻ファイバーが、扁桃周囲膿瘍が疑われる場合は造影CTが必要になります。ちなみに、急性喉頭蓋炎では1割が気道確保が必要になるらしく、早めに耳鼻科に診てもらうのが良いでしょう。私はドクターヘリを要請しました。
発熱外来において何よりも重要なのはバイタルサインです。sBP<90の低血圧は敗血症を示唆し、脈拍数が50~100bpm以外の数値には注意が必要です。SpO2<93%も危ないです。また、呼吸数が8~25回以内か確認しましょう。電話診療は顔色を見ることができないため直感を働かせるのが難しくなります。危険性を忘れず、患者の口調にも注意を払うようにしましょう。もうしばらく電話診療はないと思いますが。
風邪の主三症状は「咽頭痛・鼻水・咳嗽」ですが、これらが全くない発熱患者の場合、別の感染源を探しましょう。CVA tenderness、腹痛、整形外科的な痛みなどをチェックしましょう。「風邪の症状がない発熱は不安である」という感覚を持つことが重要です。逆にこの三症状がそろっていれば、「風邪ですね」でいいと思います。