アドレナリンが効かないショック
血圧が上がらない時は緊張性気胸やボリューム不足などの鑑別をしつつ昇圧剤を使うと思います。ノルアドレナリンを使いつつも血圧が上がってこない時もあると思います。
私はそういう時はビタミンB1不足を疑い、アリナミンF50 20mlを投与しています。いわゆるベリベリハート・大酒家突然死症候群っていうやつですね。総合ビタミンのネオラミンスリービーやビタメジンを投与する先生も多いです。ネオラミンスリービー・ビタメジンは1AあたりビタミンB1(チアミン)をそれぞれ50mgと100mgでアリFと同じ量が入っているのですが、添付文書ではビタミンB1欠乏症の適応が通ってないように見えます。B1不足を疑ったら素直にアリF50を入れるのがいいのではと考えています。
ステロイドも入れています。集中治療領域では相対的副腎不全としてヒドロコルチゾン(ソルコーテフ)が好んで使われており、100mgを生食100mlに入れてdripしています。それでも効かなければ、アドレナリンの出番と言うことになります。
本題のアドレナリンが効かないショックですが、β遮断薬を内服中の患者では効かないことが多いとされています。その場合、グルカゴンを投与することが推奨されています。1~5mgをショットし、以降は5~15ug/minで持続投与するということになっています。ショック患者ではβ遮断薬を内服していないか早めにチェックしておきましょう。
なお、小生が経験した症例では、アドレナリンを投与しても血圧が全然上がらなかった患者で、肥大型心筋症による流出路狭窄で血圧が上がらなかったことがありました。夜中だったのですが、上司に来てもらって助けてもらいました。確かボリュームを入れて対応したような記憶があります。
もちろん近年では機械的補助(ECMO)が流行りですから、早期にECMOが使える病院へ転院搬送を考慮しましょう。