よくある酸素マスクですが、時々ゴムひもをしっかりと縛って、マスクを顔に密着させる人がいます。人によってはご丁寧にテープで固定したり、マスクの穴を塞いだりすることも。
実際には酸素マスクはゆるゆるで大丈夫です。と言うのも、酸素マスクの穴や脇から空気を吸わないと十分に吸気が出来ず患者は苦しいからです。
例えば、3L/分の酸素を流すとします。一秒あたりの流量は3000ml ÷ 60秒なので、50ml/秒と言うことになります。人間の一回換気量はざっくり500ml/回ほどなので、1秒間に500ml吸って、2秒間で500ml吐くということになります。
酸素マスクをしっかり密着させてしまうと、理論的には50mlしか吸えなくなるので、患者は息を吸えずに苦しくなってしまいます。なのである程度ゆるゆるにして、脇から空気を吸ってもらわないといけないわけです。実際には450mlくらいの空気と50mlくらいの酸素を吸っているということになります。
本当に高濃度の酸素を吸ってもらいたい時はリザーバーが必要になるわけですね。
集中治療医学会の専門医テキストには各流量と酸素濃度の表があります。興味のある方は見てみてください。