酸素濃度が高い時はhigh PEEPが必要な訳
人工呼吸器の話です。FiO2が高いほどPEEPが必要なのはご存知だと思います。「FiO2 PEEP」で 画像検索すると、各FiO2における至適PEEPの表が沢山出てきます。では、これはなぜでしょうか。
そもそも空気というのは78%の窒素、21%の酸素、0.04%の二酸化炭素などで出来ています。窒素は酸素よりも血液に溶存しにくく(それぞれ0.0017 mL/dL血液/mmHg、0.003 mL/dL血液/mmHg)、空気中に窒素がたくさんあるおかげで肺胞はその形を保てています(左図)。タイヤの窒素充填と同じです(個人的にはタイヤに入れることに意味あるのかなと思ってますが)。
ところが、純酸素を吸入させると、肺胞内に窒素がなくなってしまいます。すると、酸素は血液内に溶存していってしまうので、肺胞は収縮し(右図)、純酸素を吸わせているのに酸素化が悪くなってしまうというパラドックスが生じます。これを、「吸収性無気肺:absorption atelectasis」と言います。また、しぼむ・膨れるを繰り返すと肺胞へのダメージが蓄積されていきます。
収縮しやすくなった肺胞の形を維持するのにhigh PEEPが必要になるという訳ですね。