7 Aライン挿入のコツ
橈骨動脈にAラインを入れる機会は多くないと思いますが、入れるときのコツに関するお話です。
まずセッティングですが、母指球にテープを張って前腕を回外し、穿刺部位が水平になるようにしましょう。手首を進展させるために穿刺部位の下あたりに枕を入れるのを忘れないように。ただ、力いっぱいテープ固定すると血管が虚脱してしまうので、ほどほどで。
手関節(手首を曲げた時にしわが寄るところ)よりも大体2cm以上中枢側になると橈骨動脈は急に深くなっていくので、この間で穿刺する方が良いです。
私はアルコール綿で消毒し、不潔手袋で穿刺していましたが、大学病院ではイソジンやオラネジンで消毒し、清潔手袋でやっていました。ポーランド人麻酔科医に聞いた話では、ポーランドでは覆布もかけているとか。自由形でいいと思います。
一番大事なのはエコーで見ながら入れることでしょう。ごくまれに橈骨動脈が二股に分かれている人がいますので、むやみに刺しても入らないことがあります。短軸像で橈骨動脈を描出し、Depthは動脈が大きくなるように調整します。使えるならホッケースティック型やマイクロリニアのプローベをお勧めしますが、普通のリニアでも可能です。
穿刺の仕方はDNTP法が有用です。ぜひマスターしてください。これが出来るようになると穿刺困難な透析患者も楽勝になりますよ。報告によると小児の点滴にもいいとか。
エコーカバーは使った方がいいんでしょうが、コストもかかるので一概に言えないですね。
昔読んだ本によると、手術が早い外科医と言うのは縫合や切開のスピードが早い人ではないらしいです。なんでも一発で決める人と書いてありました。確かに確実に進めていく先生は危なげなく手術を終えていた気がします(荒々しくて早い先生もいましたけど)。
私もどんな手技も一回で決めることを心掛けています。Aラインはブラインドで穿刺していたころは本当に苦手な手技だったのですが、エコーで出来るようになってから本当に楽になりました。今はもっぱらエコーで見ながら穿刺しています。