釣り針除去は色んなやり方がある手技の代表と言えるでしょう(色んな治し方がある手技の例としては肩関節の脱臼整復術・巻き爪・しゃっくり止めなどがあります)。色んなやり方があるということは、はっきりこれだという方法がないということです。これこそ臨床の醍醐味です。私が知っている釣り針除去の方法についてまとめてみました。
受傷部位にまず局麻をする。指ブロックでもいいですが、創部にするのと指ブロックをするので注入時の痛みはあまり変わらない印象を持っています。なにより創部局麻はすぐに効きますが、指ブロックは時間がかかり、効かない可能性があります。なので、釣り針除去に関しては創部局麻がベストだと考えています。あまりに大きな針だとブロックがいいかもしれませんが。
大きな針でも対応できます。また、穴が二つできるので、洗浄には有利かもしれません。ただ、ピンカッターやペンチがないと無理です。また、もう一つ穴が出来るのもデメリットです。
糸を結んで一気に引き抜く方法です。釣りの現場でも施行可能です。ただ、返しが大きな針で難渋したこともあり、個人的にはあまり好きな方法ではないです。
針の返しを18Gのベベルで内包してそのまま引き抜く方法。うまく内包出来ると、抵抗なくスッと抜けて感動する。あまりに大きな針だと難しいかも。個人的には好きな手技です。
創内部洗浄は注入孔と排出孔の両方があると効率的です(猫咬傷まとめも参照ください)。二つ穴があると比較的きちんと洗浄できますが、一つしかないと洗浄効果に乏しい印象があります。また、ナイロンドレナージはした方がいいです。ナイロンドレナージのコツは曲げて挿入することです。痛くないし、一度に二本入れることが可能となります。ナイロンドレナージで画像検索してみてください。破傷風トキソイド筋注・抗生剤(オーグメンチン)の処方も忘れずに。
ここまで書いて、MSDマニュアルに詳しく書いてあることを発見しました!こちらによると方法1は深く刺さった針、方法2・3は浅く刺さったときに良いようです。